だいたい怠惰

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【書評】年金問題は嘘ばかり

毎日聞いてるPODCAST ニッポン放送「ザ・ボイス そこまでいうか」木曜日隔週で登場される経済数量学者 高橋洋一先生の著書
 年金制度について理解していない人が多いのに、破綻するのではないか、などと思ってしまっているのは、年金への不安を煽るメディアや政治家が多いから。財務省厚生労働省も、年金不安を消費増税の材料に使いたい。またメディアも年金不安を煽ることでが数字がとれる。年金が危ないを強調することで得になる人が大勢いるのが現状。
  しかし、年金は現状の制度をきちんと運用すれば破綻だなどと大げさに悲観する必要はない。年金について知っておくポイントは3つ。
  1. 年金は保険である。 
    例えば健康保険は、病気になった場合は保険から治療費を負担してもらえる。しかし病気にならなかった場合はまるまる損をする。(掛け捨て)年金は「長く生きた人」を保障する保険。年金支給開始年齢までに死んでしまうとお金を1円ももらえない。
  2. 40年間払った保険料と、20年間で受け取る年金の額がほぼ同じ
    平均寿命をざっくり80歳とすると、公的年金は20歳から60歳までの40年間納めて 、60歳から80歳くらいまで20年間受け取る仕組み。 つまり、一年あたりに受け取る年金額は、一年あたりに納めた保険料の2倍くらいになる
    厚生年金の保険料率は標準報酬の18.3%(約2割)。 納めている年金保険料は月給の2割くらいで、年金額はその2倍くらい。よって2割×2=4割でだいたい月給の4割くらいとみておくことができる。
  3. 年金定期便は国からのレシート
    年金定期便は誕生月に日本年金機構から送られてくる「国がきちっと年金保険料を受け取ったかどうか」を証明するもの。 すなわち国から発行されたレシート。
 また、現役世代何人で一人の高齢者を支えるかという考え方は誤り。ロジックの最大の問題点は人数だけで計算しているところ。年金は人数の問題はなく金額の問題。人数に所得をかけた金額を使うべき。昔は6〜7人で一人を支えていたが、今はその当時よりは給料が上がっている。後、人口が少しずつ減少していくと予想されている中で重要なことは経済を成長させて所得を増やしていくこと。それが年金制度を安定させる一番のポイント。 
 一年で現役世代が2割減ると言うのであれば年金制度への影響は大きいが、40年で言われるのであれば影響はそれほど大きなものではなく、その分経済成長できればカバーできる。予測できる範囲内であれば対応可能。
 
【感想】
 やたらと年金制度について不安を煽る風潮の真理が少し垣間見えた。年金制度自体、複雑な保険数理で計算されており、制度自体が崩れる心配はない。年金については保険であると理解することが大事。ともすれば福祉と捉えがちであるがあくまで保険。早死した人が長生きした人を支える仕組みなのである。
 年金は人数の問題ではなく、金額の問題という点も非常に参考になった。現役世代何人で一人の高齢者を支えるかはよく議論されるが、たしかに人数が減っても収める保険料が増えれば全体のバランスはとれる。完全雇用で正社員をふやしていくこと、女性の社会進出も大きな鍵となる。現在は雇用が増えており、ここから賃金が上昇してくれば景気も実感としてよくなってくるはず。消費増税はやっぱり反対。