だいたい怠惰

逆から読んでもダイタイタイダ

営業担当ではなく、エージェントになろう

本日の日経新聞より。

保険の銀行窓販、解禁10年、全体の1割にとどまる、顧客フォローに課題。
2017/12/22 日本経済新聞
 銀行窓口での保険商品販売が全面解禁され、22日で10年を迎える。取り扱う商品の幅は広がってきたが、新規の保険販売全体に占める割合は約1割。全面解禁以降、投信販売は銀行窓販シェアが5割にのぼる。既存の営業職員による販売とすみ分けつつ窓販をどう拡大するかが課題だ。(中略)
 銀行の支店では窓口の行員が1~2年で異動することが多く、営業職員に比べて既存の契約者へのフォローが手薄になりがちだ。「既契約をタブレット端末で一元管理するシステムの開発などが必要になる」(三井住友海上プライマリー生命保険)。窓販を増やすにはアフターフォロー体制の拡充も課題だ。

 金融ビックバンの流れのもと、いわゆる護送船団方式が崩壊を迎える中で保険・投信の銀行窓販が解禁されて早10年。顧客の金融資産を把握している銀行が保険を販売するなんてとてつもない脅威に感じられていたが、蓋を開けてみれば新規販売占率は約1割に留まっている。時を同じくして一世を風靡したネット専業保険も伸び悩んでいる。ライフネット生命は上場以降赤字基調が続き、実店舗での販売に乗り出すなど戦略を転換し始めているとか。

 やはり生命保険という商品特性上、アフターフォローは必須なのだ。普段何事もないときは煩わしく思える担当の営業職員も、有事の際にはすぐに駆けつけてくれ、手続きを一任できる頼もしい存在となり得る。世間的にこのことを再認識できたきっかけが、いみじくも2010年の東日本大震災なのだ。

 震災発生後、あらゆるライフラインがストップする中、生命保険会社は営業職員自らの足で避難所を周り、安否確認と自社のみならず各社コールセンターのご案内に奔走した。保険は人が人を支える「相互扶助」の仕組みでできている。どんなに合理的な時代にあっても、やはり人を介すあたたかみが保険には存在する。

AI技術の進化や深刻な人手不足など、労働市場は刻々と変化を続けているが、こと保険に関しては今後も営業職の果たす役割は大きいと感じる。営業職と聞くとイメージが悪いが、アメリカでは「医者と弁護士とエージェントの友人を持つと、幸せな生活が送れる」といった慣用句がある。エージェントとは代理人だ。つまりは、営業(商品販売)だけではなく、その後のアフターフォローを含めて「顧客の代理人」として幅広くサポートしていくことが、今後益々求められていくと感じる。